ピエモンテという州はイタリア好きな人たちであってもあまり訪問される所ではないと思う。一般的にミラノ、ローマ、ヴェネチアなど有名な観光地がイタリアにはたくさんあるからだ。しかしイタリアワイン好きとなれば話しは別。イタリアワイン好き、イタリア料理好きにとってピエモンテはとても魅力的な州だ。仕事柄、私はかなり頻繁に訪問する。コロナ騒動になるまでは少なくても年に1度や2度は行っていた。というより行かなければならない仕事が必ずあるのだ。
フードライナーがピエモンテ州の生産者から仕入れているワイナリーだけでも10社以上はある。あらためてピエモンテ州を調べてみたら、人口が約440万人、面積が25,400㎢、ミラノから西北西約126km、ローマから西北約522km、州都がトリノ、8つの県から構成されると書かれている。
8つの県の中でも特に私たちが深く関係するのは、バローロ、バルバレスコのあるクーネオ県。モスカート、バルベラがあるアスティ県。ガヴィのあるアレッサンドリア県の3県だ。
クーネオ県で私たちと関係が深い生産者は、バローロ地区ではVietti、ENZO BOGLIETTI。
バルバレスコ地区では、FRATELLI GIACOSA、PELISSERO、MOCCAGATTA、ロエロ地区ではCASCINA CHICCOなど。
アスティ県の生産者は、BRAIDA、BERTA、COCCHI、PICO MACCARIO、アレッサンドリア県の生産者はVILLA SPARINAがある。
古くからお付き合いをしている生産者であればすでに30年を越えていて、当時、中学生や高校生であった息子さんや娘さんが、現在のオーナーになっているワイナリーもある。
考えてみるとフードライナーがお付き合いをしているワイナリー、ディスティラリーは圧倒的に家族経営が多い。基本的にピエモンテのワイナリーは家族経営=中小規模のワイナリーが多いのは事実であるが、どういうわけか、フードライナーはそれくらいの規模のワイナリーとの取り引きが多い。
フードライナー自身が小規模であるから当たり前といえば当たり前なのだが、おもしろいなぁと思う。だから必然的にお互いの家族関係も良く知っていて、社長の奥様の弟がどのセクションを受け持っていて、息子や娘が何をしていて、従業員のだれとだれが結婚をしていて、彼と彼女が離婚した、など知らなくても良い事まで耳に入ってくる。
ピエモンテ人(ピエモンテーゼ)は基本的には真面目で控えめ。派手な流行に左右されず地味に親切な人が多いといわれている。
確かにローマやナポリの人たちとは、生活習慣も全然違うし、食事のスタイル、内容も大きく違うように思う。しかし何十年も付き合っているうちに、お互いなんでも話すようになる。ピエモンテーゼといえどやはりイタリア人である。
おしゃべり好きであるのは変わらないし、何十年も付き合えば、どこまで話していいのか、ダメなのかさえわからなくなってしまうのである。
さぁ、じっくりとピエモンテの話をしよう。