バルバレスコというワインは基本的に3カ所のエリアから成り立っている。
バルバレスコ村、トレイゾ村、ネイヴェ村。バルバレスコ村を中心としたエリアからできるバルバレスコ・ネビオロは、やわらかい持ち味があり比較的ソフトなタンニンが特徴である。逆にトレイゾ村周辺のネビオロからできるバルバレスコは男性的と言われている。ペリッセロはそのトレイゾのバルバレスコなので力強く迫力のある味わいであった。少し古いバルバレスコを試飲すると、こちらは艶があり色、香り、共に落ち着いて練れていて美味い。
ペリッセロのワインを扱いはじめた当時の価格表には1999年BARBARESCO 7,000円と書いている。なんと今よりも高い。現在は、2015年BARBARESCOを 5,200円で販売している。為替レートやいろんな事情があったのだろうが、かなり価格が違っている。なぜ、今の方が安いのか。
ペリッセロ・バルバレスコの価格に関しては私が知る限り、世界で一番安く買っていると思う(イタリア国内は除く)。
2002年当時、彼のワインを輸入・販売を始めたものの思うように売れていかなかった。それについては彼と何度も何度も話し合った。ワインが素晴らしいのは理解しているが、ワインが良いからといっても勝手に売れていくものではない。そこには価格や見た目、色々な要素がある。極端にいえば、あまり感心しないワインでも、すごく売れているワインもあったりする。ジャケット買いもあるだろうし、ワインが持っている雰囲気もある。何が原因なのかはわからないが、とにかく私が言ったのは、「とりあえず当分の間、価格を下げてまずはお客様に買ってもらおう」ということだった。当然仕入れ本数を大幅に増やすという条件もつけた。最初は納得しなかったが、日本に自分のワインを紹介したかったし、販売も延ばしたかったので、最終的に彼は納得し合意した。そして私たちは彼のワインの値下げを行った。値下げという言葉がふさわしいかどうかはわからないが、とにかく定価を下げることにした。
結果的には売り上げ本数を増やすことにつながった。始めは一定期間ということでしたが、未だにその価格のまま仕入れをしている。
そんなわけで、20年前より現在の方が安く売る事ができているのである。
毎年のように値上げの話をしてくるが、いつも聞こえないフリで話題を変える努力をしている。
お互い「いつまで付き合おう」とか先々の話まではしないが、これからもフードライナーの価格表にはペリッセロのバルバレスコは載っていると思うし、載せていきたいと思っている。
どうぞみなさま、ペリッセロ・バルバレスコをよろしくお願い申し上げます。
P.S.彼は子供の頃、友達がいなかったそうだ。何故?と聞くと、周りの友達は学校が終わるとみんなでサッカーをしたり、おしゃべりをしたり放課後を楽しんでいたが、自分はすぐに家に帰って畑仕事を手伝わなければならず、友達と遊ぶ時間がなかったという事だった。だから子供の頃の自慢は8才からトラクターを乗り回せたことだ。ただ今となっては親から引き継いだブドウ畑は、特級クラスのエリア(TRE STELLE,BASARIN)に位置しており、バルバレスコの中でも最も力強さ・華やかさを持つ素晴らしいネビオロの優良畑を持つワイナリーであることは間違いない。今後、益々期待が持てるワイナリーである。